エッセー哲学的 / 佐々木 寛


哲学に関わる、試論および小論、さらには、色々な時事問題や、身近な問題などについても、自由に書いてみたいと思っています。なお、コメントは、リンクにある掲示板へ、どうぞ。ただし、悪戯と思えるコメントは、削除します。

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共産主義体制下の強制労働と資本家フォードのフォードシステム

数年前、ある地方テレビのインタビューに答えて、その地方の、ある企業経営者が「もっと労働者の労働時間を増やして生産性を上げなければならない」という趣旨の発言をしていたが、なんと馬鹿な経営者かと呆れたことがあった。

単に、労働時間を増やしても、生産性を上げることには成らないのが、まったく理解できていないようだった。生産性が上がったと言えるのは、具体的に言うと、たとえば、一日八時間なら八時間の労働のうちに、それまでよりも多い製品等の製造をした場合なのである。

もっと分かりやすく言えば、一日八時間ではなく、一日六時間で、それまでより三割増しの製品等を作れるようになれば、生産性は上がったと言えるのである。さらに言えば、一日八時間ではなく、その半分の時間で、それまでよりも倍以上の製品等を作れるようになれば、かなりの程度、生産性が向上したと言えるのである。ただし、売れている製品等である必要がある。

要するに、それまでと同様の方法等のままで、労働者の労働時間を増やしても、それは、まったく生産性を上げたことにはならないのである。

生産性向上の具体例として、フォードシステムがある。うろ覚えの記憶によるが、フォードは、当時の同業他社とは、まったく〝異なる方法〟で、車の生産をし、たしか、他社の労働者の労働時間が、一日十数時間であったとき、自社の労働者の労働時間を半分近い一日八時間にして、なおかつ他社より、単位時間あたり、二十倍以上の生産台数を誇ったということである。

これなどは、常識として知っておかなければならない、生産性向上の見本のような例なのだが、こういうことを、まったく知らない企業経営者や管理職が居るということが、少なからぬ日本企業の生産性を上げることのできない一因だと思われる。

そして、はじめに私が例として上げた、日本の或る地方企業の経営者の考えは、どちらかというと、フォードよりも、中国共産党の遣り方に近いものだと考える。

丁抒=著、『人禍』、森幹夫=訳、学陽書房、一九九一年の、122p~123pからの抜粋。

「甘粛省だけを例にとってみても、一九五八年に岷県から澆河の水をせきとめて数百キロも離れた慶陽県まで水を引くことが決定されると、河の沿岸の各県では二、三万の強壮な労働力を動員して、この巨大な工事に投入した。ところが、この工事は党幹部の単なる思いつきの産物で、専門家による設計を経ていなかった。そのため、六一年になって工事は結局失敗に終わった。
 その間、過労死、餓死、圧死、病死した者や、苦しい労働に耐えきれずに逃げ出したが捕まってつれ戻され、〝黒屋子〟〔暗い部屋で食事や水なども与えられず、外界と隔離されて放置された〕にとじこめられたまま餓死した者は、数えきれないほどであった。工事現場の沿道の近くの大きな穴の中にだけでも、数千という動員された農民たちの遺骨が散乱していた。」

上記のように、共産主義体制下において行なわれたと考えられる〝過労死〟および〝病死〟に至るまでの苛酷な長時間の強制労働と、資本家フォード個人が行なった、フォードシステムによる〝生産性の向上〟および〝労働時間の短縮〟を比較した場合、共産主義体制は、極悪非道の大量殺人システムと言う以外ないように思える(ちなみに、アメリカでは憲法で共産主義が禁止されているとか、他国の良いところは日本も見習うべきでしょう)。

過去、何十年にもわたって、如何に共産主義体制が、世界中に大量のデマを宣伝してきたことか…。

北海閑人=著、『中国がひた隠す毛沢東の真実』、廖建龍=訳、草思社、2005年の、298pより抜粋。

「一九七八年十二月十三日、中共(注・中国共産党)中央副主席・葉剣英元帥は、中央工作会議の閉幕式の席上で「十年間の文化大革命では二千万人が死に、一億人がひどい目にあった。全人口の九分の一を占める人数だ。そして八千億人民元が浪費された」と、沈痛な面持ちで語った。
 一九八一年六月、中共(注・中国共産党)中央総書記・胡耀邦は例の『歴史決議』草案を討議する会議報告の中で「一九五九年から六二年の期間中(注・大躍進政策時)に、党全体の活動の失敗により困難な情況に陥り、全国で二千二百万人が〝非正常死亡〟〔政治的迫害や執政の失敗による死亡〕した」と率直に認めた。」

上記のように、中国共産党自身が出した犠牲死亡者数は、合計四千二百万人だが、これも、かなりの程度、少なく見積ったものではないかと思われる。

カン・ヒョク=著、『北朝鮮の子供たち(脱北少年が見た〝楽園〟の真実)』、檜垣嗣子=訳、文春文庫、2005年の、8~9pより抜粋。

「…北朝鮮は、この地球上でもっとも忌むべき全体主義国家のひとつである。その特徴をあげるならば、常軌を逸した個人崇拝、壊滅状態の経済、嘘とプロパガンダの帝国、少なくとも二十万の人がとらわれている強制収容所、ということになるだろう。この共産主義のジュラシック・パークには、どのような反対意見でも密告することが徳とされる、冷戦の偏執狂的雰囲気がただよっている。 …中略… 一九九三、九四年以来、同国で猛威をふるっている飢饉は、もっとも弱い立場に置かれた人々を中心に、二百万から三百万の死者を出すこととなった。大規模な国際援助がおこなわれたにもかかわらず、それらの物資はほとんど軍にまわされてしまった。首都平壌の政府は食糧危機を「自然災害」によるものと説明したが、ひどい飢饉の原因は実のところ、この独裁政権の恐ろしいまでの不条理と異常な論理とにこそ求められるべきなのだ。 …中略… (本書構成)フィリップ・グランジュロー」

このような共産主義体制と、自由主義下でフォード個人が行った生産性の向上による労働者の労働時間の短縮などを比較すると、雲泥の差を感じざるを得ない。
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政治・経済 | コメント:3 | トラックバック:0 |
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この記事のコメント

いつもコメントを頂きありがとうございます.佐々木様の試論と小論を読ませていただいています今後も切れ味鋭く学究的論考を楽しみにしています
2005-12-18 Sun 08:18 | URL | サワデイ #XjNQc0GY[ 編集]
堅苦しく成りますので、「様」ではなく、さん付けで結構ですよ。こちらこそ、今後とも、どうぞ、よろしく。
2005-12-18 Sun 11:08 | URL | 佐々木 寛 #-[ 編集]
 
昨今、中国は小泉総理の靖国神社参拝を批判しているが、中国が日本を批判するのは靖国問題ばかりではない。歴史教科書問題や尖閣諸島問題に関しても、日本側の対応を強く批判し、さらに日本側の主張には全く耳を貸そうともしない。 そんな強引とも横暴とも受け取れる中国側...
中国を許せる?【THINK ANY MORE】at 2005年11月27日 01:53
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平壌【首都の旅】at 2005年12月04日 05:10
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2005-12-21 Wed 09:24 | URL | 佐々木 寛 #-[ 編集]

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