エッセー哲学的 / 佐々木 寛


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『闇の奥』の奥

この書は、およそ百年前の、アフリカ(特にコンゴ)を舞台に行われた、欧米の人種差別の凄まじさ、さらには、善を偽装する邪(よこしま)さなどを、顕(あらわ)にしたものです。藤永茂=著、『闇の奥』の奥、三交社、2006年の、本文から抜粋。

 …コンゴの先住民社会は疲弊し、荒廃し、その人口は激減していった。ブリタニカ百科事典(一九九四年版)には「二〇〇〇万人か三〇〇〇万人から八〇〇万人に減少してしまったと言われている」とある。正確な数字の決定は望めまい。しかし、一八八五年から約二〇年の間にコンゴが数百万人の規模の人口減を経験したのは確かであると考えられる。
 アメリカの奴隷〝開放〟宣言から半世紀後、一九世紀の末から二〇世紀の初頭にかけて、人類史上最大級の大量虐殺が生起したという事実には全く否定の余地はない。
 しかし、この驚くべき大量虐殺をアフリカ人以外の人間のほとんどが知らないという事実こそ、私には、もっとも異様なことに思われる。この惨劇からわずか四〇年後に生起したユダヤ人大虐殺ならば世界の誰もが知っている。ユダヤ人の受難に比べて、コンゴ人の受難がほぼ完全に忘却の淵に沈んでしまった理由を、今こそ私たちは問わなければならない。(81p~82p)

 若い頃、藤永氏の著書、『アメリカ・インディアン悲史』(朝日選書)を読み、衝撃を受けたことがあります。この他に、ラス・カサス=著、『インディアスの破壊についての簡潔な報告』(岩波文庫)や、池本幸三&布留川正博&下山晃=著、『近代世界と奴隷制』(人文書院)、それから、ポール・ゴードン・ローレン=著、『国家と人種偏見』(TBSブリタニカ)や、ハワード・ジン=著、『民衆のアメリカ史』(TBSブリタニカ)などは、欧米の人種差別と侵略、そして虐殺の歴史を知るためには必読の書です。ちなみに、藤永氏自身のブログもあります。よかったら、どうぞ(下記、URL)。

http://huzi.blog.ocn.ne.jp/darkness/

追記:参考までに紹介しますが、ゲーテは、このようなことを述べています。『ゲーテとの対話(中)』、エッカーマン=著、山下肇=訳、1984年、岩波文庫、137p~138pより、抜粋。

 「けれども、ドイツ人が哲学上の問題の解決に悩みぬいている間に、イギリス人の方は、その偉大な実践的知性を発揮して、われわれを嘲笑しながら世界を征服している。奴隷売買に反対するイギリス人の長広舌はみんなも知っている。そしてこういう姿勢の根底にはどんなに人道的な原理があることか、といってわれわれをたぶらかそうとしているが、今や、その真の動機が現実的な目的にあるということはあきらかだよ。周知のとおり、こういう目的なくしては、イギリス人は決して何もしないのだから、われわれの方もこれを心得ておくべきだったのさ。アフリカの西海岸のその広大な土地では、みずから黒人を使っているのだから、そこから黒人を輸出するのは、自分たちの利益に反するというわけさ。アメリカには、彼ら自身が大きな黒人の植民地をつくっていて、それが大へん生産的で毎年黒人の数がものすごくふえている。この黒人で北アメリカの需要にうまく応じているのだ。こういったやり方で、きわめて儲けの多い商売をやっているので、外地からの黒人の輸入は、商業的な利益をひどく妨げることになるのだ。そのため、非人道的な商売に反対する説教をぶっているのだが、じつは、ちゃんとこうした目的があってやっているのだ。…」
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