エッセー哲学的 / 佐々木 寛


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『隷従への道 -全体主義と自由-』

 フリードリヒ・A・ハイエク=著、『隷従への道 -全体主義と自由-』、一谷藤一郎&一谷映理子=訳、東京創元社、2004年。
http://www.tsogen.co.jp/np/detail.do?goods_id=230

 一部に、それは違うと言いたくなる部分もありました(たとえば、西欧のヒューム以来の伝統などというところです。ヒュームの思想は、仏教哲学の影響下にあるものと、私は考えています)が、全体的に見ると、やはり大変な名著です。私が読んだのは、東京創元社が、2004年に刊行したもので、原著は、1944年に初版が刊行されています。ですから、1930年頃に旧ソ連で行われた、一般市民に対する、政策としての飢餓やシベリアへの大量強制移住の後のことです。当時、少なくとも数百万人が死んだと言われています(要するに、旧ソ連当局に殺されたのです)。

 重要なことですが、本書の注釈において、ヒトラーが1941年の公式演説でナチズム(国家社会主義)と共産主義(マルキシズム)は同じものであると述べたことを紹介しています。そして、ハイエクは、左翼思想(共産主義)と右翼思想(国家社会主義)が、本質的に同じものであることを見破っています。私も、同様の考えを独自に持ちましたが、もっとはやく、この本を読んでいればと悔やまれます。

 ちなみに、この本が広まらないように、社会主義陣営は、あらゆる手段を講じたそうです(当然、非合法活動も含まれると考える)。実際、日本の社会学者や経済学者、特に左翼系の学者が、この本について、ほとんど何も言及しないのは、やはり政治的な意図があるからでしょう。

 結局、左翼の共産主義体制にしろ、右翼の国家社会主義体制にしろ、また官僚社会主義体制にしろ、市場を否定する統制経済体制は、必然的に個々人の自由を否定し、抑圧体制へと至るということでしょうが、ハイエクは、市場を重視するにしても自由放任の立場ではなく、法を遵守した自由の大切さを述べているように受け取りました。その辺は、まったく同感です。

 最後に一言。左翼の共産主義体制も、右翼の国家社会主義体制も、要するに、全体主義体制というのは、社会全体の為と言いながら、一部の特権階級(ノメンクラトゥーラ)だけが、不当に利得を得られるよう、大多数の一般の市民、個々人に対して、多大な不自由と不利益を被らせ、搾取するとともに、結果として、当の、社会全体を疲弊させてしまう、詐偽体制であるとしか言いようがありません。
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